漱石生誕150年に寄せて

今年(2017年-平成29年)は、夏目漱石が生まれて150年――漱石ファンにとってのみならず、日本文学史にとって、節目となる年――です。

漱石――夏目漱石は、森鴎外などとは違って、真に、“文豪”と称されるに相応しい、真の、小説家、文学者です。

漱石の作品と云えば、『坊ちゃん』、『吾輩は猫である』、『こころ』などが、お馴染みでしょう。

しかし、『坊ちゃん』や『吾輩は猫である』は、少年少女向けのリライト作品、『こころ』は高校時代の現国(現代国語のことを、わたしたちの時代は、こう云っていたものです)の教科書に載っていたのを読んだだけ、と、云うお方が、ほとんどなのではないでしょうか。

それにまた、日本のいわゆる文芸評論家、文学者、などと云う輩が、まことに可笑しな、大阪流に云いますと、“けったいな”輩でございまして、その云うこと、書くこと、論ずることが、「はるか無辺世界を射たまへる」ものばかりなのですから、なるほど、活字離れも進むわけです。