幽霊の日のひとりめし

文政8年(1825年)の今日、江戸・中村座で、鶴屋南北の『東海道四谷怪談』 が初演された。そのことを記念して、今日は、“幽霊の日”である。

なるほど、ボチボチ幽霊もお出ましになろうか、と、云う時節である。

古来幽霊と云うと、恐ろしいものの代表であるが、よくよく考えると、幽霊は死者の霊が化けて出たもので、それも西洋のそれとは異なって、自分が怨む人間以外の人間に仇をなすことはない。

我が国の三大幽霊、と、云うと、なんと云っても筆頭に挙げられるのは、この『東海道四谷怪談』のお岩さんである。

他の二人は、『播州皿屋敷』お菊さん、そして『怪談牡丹灯籠』のお露さん、と、なっている。いずれも美人である。

美人でない場合は、化物となる。

最近では、幽霊や化物よりも、人間のほうが、よほど恐ろしい。最近幽霊や化物の話をめっきり聞かなくなったのは、幽霊や化物も人間を懼れて、とても出てくる気になれないからであろう。

人間界よりも幽冥界のほうが、安心安全なのだろう。

もちろんそのことと、わたいの食卓に並ぶ献立とには、なんらの関連もない。

幽霊とも化物とも縁のない、いたって俗な献立である。

 

献立:トースト(6枚切り×2枚)、半熟卵(2個)、生野菜サラダ(レタス、キャベツ、胡瓜、トマト…青じそドレッシング)、いちごヨーグルト、野菜ジュース、バナナ

いままで小松菜のわさび和えがあっさりしすぎていて────ハッキリ云えば、わさびがあまり効いていなくて、いささか物足りなかった。今回は思い切って多目にわさびを入れてみたら、いい具合にピリッとした味わいになった。思うに、小松菜からけっこう水分が出ているのであろう。

豚肉の生姜焼きは、いつもながら、濃いめの味つけである。こちらは逆に、味つけを薄くしたほうがいいかもしれない。あまり濃い味つけだと、健康によろしくない。

 

献立:麦飯(海苔と野菜のふりかけ)、豚肉の生姜焼き、小松菜のわさび和え

これで鶏肝の生姜煮がなくなった。一昨日にも記したように、今回はもともと、味噌汁の具にするために冷凍保存しておいた具材を使用したためか、3食分になった。もっとも、それでなくても、3食分にしようと、計ってはいたのだが……。

それにしても、昼は豚肉の生姜焼き、晩は鶏肝の生姜煮、と、生姜ベースの主菜が続いている。いままで気付かなかった、と、云うことは、それも全然気にならない、と、云うことである。

冷奴は、 昨日思い付きで付け加えた1品であるが、この1品があるだけで、“夏の食卓感”が増す。夏は冷奴、冬は湯豆腐。しかも、クセがなくて食べやすく、栄養も満点である。まったく重宝な食材である。

 

献立:玉子麦飯、即席みそ汁(長ねぎ、油揚げ、ニラ、もやし、貝割)、鶏肝の生姜煮、生野菜サラダ(レタス、キャベツ、胡瓜、トマト…深煎りごまドレッシング)、冷奴、納豆、味付海苔