ガガーリンの栄誉を讃えるため、盛大な祝賀会が催された。
壇上のガガーリンに、フルシチョフ自らメダルを授与することになった。
フルシチョフはガガーリンの胸にメダルをつけようとするが、ピンがなかなかささらない。フルシチョフは汗を流し、必死の形相になってピンを止めようとするが、焦れば焦るほど、うまくいかない。
会場では忍び笑いが拡がり、やがてあちこちから笑い声が聞こえ始めた。ガガーリンも必死で笑いをかみ殺している。
やがてフルシチョフは、自らも笑いながら、汗を拭き拭き、会場の人々に向かい、
「どうです、みなさん。我が国の布地は丈夫でしょう? ピン一本通しません。服を作られるときは、ぜひソビエトの布地で!」
メダルはフルシチョフからガガーリンに直接手渡され、会場は万雷の拍手につつまれた。