ヒッチコックの叔父さん

 映画監督のアルフレッド・ヒッチコックは、『ヒッチコック劇場』と云うテレビ番組をもっていた。彼はその前座に出ては、冗談めかして面白可笑(おか)しく、そのとき放映される話の解説をした。

 あるとき彼は云った。

「わたしが子供だった頃、よく夕食を御馳走してくれた叔父がおりました。叔父さんは食事の前に、いつも自分の自慢話を、長々と語ったものです。

 しかしわたしは辛抱して、熱心にその話を聞きました。なにしろ、夕食代を払ってくれるのですから。

 なぜ突然、懐かしい叔父の事を思い出したのか分かりませんが、ちょうどここでコマーシャルです」